1971年(昭和46年)の誕生以来、パワーリザーブをはじめ、さまざまな機能を搭載してきた46系ムーブメント。時代とともに次々と新モデルを生み出してきた、オリエントスターの要となるムーブメントです。
2021年誕生の46系F8ムーブメントには、エプソンのMEMS技術を応用したシリコンがんぎ車を開発。高い精度を実現し、70時間の長時間駆動を可能にしました。
駆動時間をもっと長くできないか。その想いから、主要な部品のひとつである「がんぎ車」をシリコンでつくる挑戦がはじまりました。
応用したのは、エプソンのプリントヘッドでも使われるMEMS技術。高精度加工が特徴であるこの技術を使い、硬く軽量な材料であるシリコンを加工して、がんぎ車をつくることができました。加工したままのシリコンは欠けやすいが、熱酸化と除去を繰り返し表面を平滑にすることで、強度を確保し、従来の洋白材に比べて耐摩耗性を大幅に改善することができました。
ミクロンレベルの高精度加工によって発現するシリコンのしなる特性を利用し、バネ性を持たせた形状※1を開発。「かな」と密着させて中心を一致させる工夫を施しました。また、「かな」のスリットに合わせた回転ずれ防止形状※2も作り込み、座(ワッシャー)を嵌め込むことで、接着剤を使用しない強固な嵌合を実現しました。
さらに、酸化膜とポリシリコン膜を施すことで鮮やかな青色※3を実現。こうして、耐久性と高精度に加え、つねに眺めたくなる美しさを併せ持つ、オリエントスター独自のシリコンがんぎ車が誕生したのです。
※1 特許第6891622号 ※2 特許第6915602号 ※3 特許第6908064号